多言語サイトを作るには?基本の制作ステップと便利ツール

企業のグローバル化に伴い、ホームページの多言語対応は必須の戦略です。特に、海外市場への参入やインバウンド需要の取り込みを目指す企業にとって、多言語サイトはビジネスチャンスを拡大する上で欠かせません。

本記事は、多言語サイト制作の基本ステップや導入事例の紹介など、多言語対応を検討中の方に役立つ情報をお届けします。

多言語サイトとは複数言語に対応したWebサイトのこと

多言語サイトとは、特定の国や地域のユーザーに向けて、英語や中国語など複数の言語で情報を発信するWebサイトのことです。

世界全体を対象とする「グローバルサイト」とは異なり、多言語サイトは特定の地域に焦点を当て、文化やニーズに合わせたコンテンツを提供するのが特徴です。

そのため、訪問者は自分の言語でスムーズに情報を得ることができ、企業の海外展開やインバウンド需要にも対応しやすくなります。多言語サイトを活用することで、地域ごとに最適化された情報発信が可能になります。

デジタル人口の増加によって高まる、多言語対応の重要性

固定ブロードバンドサービスや携帯電話の契約数は世界的に増加の一途をたどり、インターネットは国境を越えて世界中の人々に情報を届けるツールとなりました。

Statistaの調査によると、2024年1月時点でデジタル人口が最も多いのは中国、次いでインド、アメリカです。特に、インドとアメリカは英語圏市場の中心であり、英語はWebコンテンツの52.1%を占めています。一方、日本語の割合はわずか4.3%に過ぎません。

日本国内では人口減少が進み、一方でインバウンド旅行者は増加傾向にあります。また、越境ECの成長により、ビジネスの国外展開は不可欠な戦略となっています。

参照元:総務省|令和6年版 情報通信白書|国内外における通信市場の動向

参照元:Number of internet users by country 2024 | Statista

参照元:Most used languages online by share of websites 2024 | Statista

多言語サイトを制作する3つのメリット

ブラウザの翻訳機能が普及している現在でも、Webサイトの多言語対応は企業にとって大きな利点をもたらします。期待できるメリットは主に以下の3つです。

1. 国外からの流入経路を確保できる

ターゲット国の言語に対応したWebサイトを用意することで、見込み顧客の獲得につながります。また、ユーザーがサイトから離脱しにくくなり、滞在時間が延びるほか、検索エンジンにインデックスされやすくなるため海外からの自然流入も増加します。

さらに、多言語対応は新たな市場のニーズを発見する手助けとなり、認知度向上にも寄与します。特にECサイトやSaaSプロダクトでは、ユーザーの母国語に対応することで顧客満足度が向上し、売上増加も期待できます。さらに、適切なSEO対策を施せば、検索結果での上位表示も可能です。多言語サイトの構築は、グローバル市場でのビジネス展開を後押しします。

2. 企業への信頼が高まる

海外企業や顧客との取引では、相手の母国語に対応したWebサイトが信頼獲得のポイントです。自社の情報を正確に届けることで、誤解や不安を防ぎ、円滑な関係構築と信頼感の向上につながります。

また採用活動においても、多言語対応により候補者が自分の言語で必要な情報を得られるため、企業への安心感や好感度が高まります。これにより、海外人材の採用の機会を広げることにもつながります。

3. 国内の業績への好影響も期待できる

Webサイトを多言語対応することで、海外展開する大規模な企業として認識され、国内の業績にも良い影響をもたらします。

また、海外で人気を集めた商品やサービスを国内市場に広めることで注目を集め、投資家の関心を引く可能性もあります。多言語対応により顧客層が拡大し、売上の増加が期待できるだけでなく、外国語ユーザーのフィードバックを活かした製品やサービスの改良が進み、新たな企画・開発へとつなげられます。

多言語サイトの制作でネックになるのは“コスト面”

翻訳やシステム開発には費用がかかるほか、情報が更新されるたびに各言語へのチェックや修正も必要です。特に、自社で対応する場合は、各言語に精通したスタッフの確保や育成が求められ、人件費の負担も大きくなります。

そのため、多言語化を進める際は費用対効果を慎重に検討し、自社に合った方法を選ぶことが大切です。コストを抑えた方法として無料の機械翻訳の活用もありますが、直訳に近いため誤訳や微妙なニュアンスが正しく伝わらないといった課題が残る場合もあります。

また、一度多言語対応すれば終わりではなく、継続的な運用が求められます。翻訳や更新作業を重ねながら成果が出るまでには時間がかかるため、リソースの適切な配分と費用管理が欠かせません。

【3ステップ】多言語に対応したWebサイトの作り方

自社のWebサイトを多言語対応させるための手順は、主に3つのフェーズに分けられます。

Step1. 対応言語とコンテンツを決める

まずは明確な目標を設定し、その上で優先言語とターゲット層を絞り込むことが重要です。特定のターゲット国がない場合は、英語を選択するのが一般的です。

次に、どのコンテンツを多言語化するかを決めます。Webサイト全体を対象にするのか、特定のページのみなのかを考慮しましょう。アクセス数や滞在時間などのデータをGoogle Analyticsで分析し、訪問者が多いページや重要なコンテンツを優先するのが効果的です。

Step2. コンテンツの翻訳とローカライズをする

Webサイトの翻訳には主に機械翻訳と人力翻訳の2つの方法があります。機械翻訳はコストが低く、迅速に実施できるメリットがありますが、固有名詞や専門用語の精度が不十分で、SEO対策が難しい点がデメリットです。一方、人力翻訳は翻訳精度が高く、文脈に沿った翻訳が可能ですが、時間とコストがかかります。

また、翻訳だけでなく「ローカライズ」も重要です。ローカライズとは、単に言葉を翻訳するだけでなく、ターゲット地域の文化や習慣に合わせてコンテンツを最適化することを指します。例えば、商品説明やキャッチコピーの言い回しを現地の価値観に適した表現に変更したり、画像やデザインをターゲットの国や地域に馴染みやすいものに調整したりすることが含まれます。適切なローカライズを行うことで、ユーザーにとって親しみやすく、信頼感のあるWebサイトを提供できます。

Step3. 外国語ページ用のURLを作成する

外国語ページ用のURL構造には、主に以下の3つの選択肢があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、ターゲットに合わせた選択が重要です。

  • 国別ドメイン(ccTLD):特定の国をターゲットにしたい場合に適しているが、複数の国に対応する場合には手間やコストがかかる。
  • サブドメイン:言語ごとに異なるサイトを作成でき、柔軟性が高いものの、SEO効果が分散しやすく、管理が複雑になりやすい。
  • サブディレクトリ:ひとつのドメイン内で言語ごとのページを整理でき、SEO効果を高めやすいが、ユーザーがサイト内で迷いやすくなるリスクもある。

こうした選択肢があることは理解できても、「自社にとってどの方法が最適なのか?」「SEOや運用の負担を考えると、どう実装すればいいのか?」と悩むことも多いでしょう。特に、URL構造の設計には技術的な知識が必要となるため、スムーズに進めるのは簡単ではありません。

そのため、多言語対応を効率よく進めるには、URL構造を簡単に管理・実装できるツールの活用も検討するのが有効です。

多言語サイトの制作には“ツールの活用”も検討を

Webサイトの多言語化には、「自社で実施する」「Web制作会社に委託する」などの方法がありますが、もうひとつの選択肢として「多言語化ツール」を活用する方法もあります。
多言語対応を進める上で課題となるのが、翻訳作業の負担や、各言語のページを管理・更新する手間、そしてシステム開発のコストです。特に、自社で対応する場合は、各言語のページを適切に管理するための技術的な負担が大きく、Web制作会社に依頼するとコストが高くなりがちです。

こうした負担を軽減する方法のひとつが、「多言語化ツール」の活用です。ツールを導入すれば、翻訳作業を効率化し、各言語のページを一元管理できるため、比較的低コストかつ最小限の負担で多言語化を進められます。 たとえば、自動翻訳と人力翻訳を組み合わせて精度を高めたり、言語ごとのページ設定をツール上で簡単に管理したりすることで、スムーズな運用が可能になります。

多言語サイト制作ツールを選ぶ5つのポイント

Webサイトの多言語化にはさまざまなツールがあり、目的に合ったものを選ぶことが大切です。スムーズな導入と効果的な運用のために、次の5つのポイントを押さえましょう。

翻訳の方法・精度

機械翻訳の精度は、使用するエンジンによって大きく異なり、それぞれ得意とするジャンルや特徴があります。そのため、ツールを検討する際は、対応言語の幅、翻訳の精度、特定分野の適性などを考慮することが大切です。

例えば、Google翻訳は、Googleが開発した「Google Neural Machine Translation(GNMT)」というニューラル機械翻訳(NMT)エンジンを搭載しています。100以上の言語に対応し、短時間で大量のテキストを翻訳できるのが特徴です。一般的な文章や日常会話の翻訳に強く、多言語展開を考える場合に有利です。
一方、DeepL翻訳は、独自に開発したニューラル機械翻訳(NMT)エンジンを搭載しており、主にヨーロッパ言語と日本語の翻訳に特化しています。文脈を考慮した流暢で自然な表現が評価されており、特にビジネス文書や専門的な内容の翻訳で精度の高さが求められる場面に向いています。

更新に合わせた自動翻訳の可・不可

多言語サイト運営では、コンテンツ更新に合わせた自動翻訳の仕組みが欠かせません。更新時に、多言語ページが自動的に更新されるか、またその方法やスピードを確認することが重要です。

ほかにも、テキストやレイアウトの個別修正が可能かも考慮する必要があります。機械翻訳を使用する場合、リアルタイム性や表示スピードも大切なポイントです。新規ページの追加や内容更新時における翻訳運用の方法を検討し、導入後の運用体制をしっかり整備しましょう。

URL形式の種類とサーバー負荷への対応

多言語対応ページのURL形式を選ぶ際は、運用・管理のしやすさやSEO効果を考慮することが重要です。オリジナルドメイン、サブドメイン、サブディレクトリのいずれを採用するかは、目的やリソースに応じて決定します。

また、多言語化によりサーバー負荷が増加する可能性があるため、負荷分散が可能なツールを選ぶことが効果的です。これらのツールを活用することで、サーバーの負荷を軽減し、多数のクライアントからのアクセスを効率的に処理できます。

翻訳できる範囲・料金

多言語サイト制作ツールには、翻訳するコンテンツやページ数に応じて料金がかかるタイプと、ドメイン単位で定額契約するタイプがあります。

従量課金の機械翻訳では、マークアップ言語もカウントされることが多いため、翻訳範囲を明確にしてコストに見合うサービスを選ぶことが重要です。コンテンツの追加や柔軟性を重視するなら、ドメイン単位の定額契約がおすすめです。

特化型辞書や辞書登録機能の有無

Webサイトの多言語化を進める際には、専門性に応じた翻訳エンジンの選定が重要です。特に、会社名やサービス名などの固有名詞の翻訳には、用語を事前に登録できる辞書機能があるツールがおすすめです。

この機能により、機械翻訳でも希望通りの精度を保つことができます。専門用語や固有名詞を登録できるツールは、翻訳精度の向上と作業効率化に役立ちます。

多言語サイト制作のおすすめツール「WEB-Transer@ホームページ AI」

「WEB-Transer@ホームページ AI」は、多言語サイト制作に最適なツールです。クロスランゲージが開発したAI翻訳エンジンを搭載しており、利用者は少ない手間とコストで高品質な翻訳を実現できます。特に、ドメイン単位で契約できるため、ページ数に関係なく利用できる点が魅力です。

また、翻訳後のテキストやデザインの修正は、直感的に行えるプレビュー画面で簡単に調整可能です。さらに、オリジナルドメインやサブドメイン方式、サブディレクトリ方式に加え、トランサードメイン方式を採用すれば、簡単に多言語化が実現します。

WEB-Transer@ホームページ AI – 【公式】株式会社クロスランゲージ

「WEB-Transer@ホームページ AI」を活用した、多言語サイトの制作事例

ここでは、「WEB-Transer@ホームページ AI」によって実現された高品質な多言語化Webサイトの成功事例を3つ厳選してご紹介します。

膨大な情報をリアルタイムに翻訳。より正確な情報発信を実現

浦安市の公式サイトでは、従来の自動翻訳サービスの精度が低く、多言語サイトの運用に課題がありました。また、人手をかけた翻訳対応はコストや工数の面で現実的ではなく、正確な情報発信が難しい状況でした。

そのため、まず無料の翻訳ツールの活用も検討されましたが、誤訳が発生した場合に修正できない点が課題となり、実用性に欠けると判断。 より精度の高い翻訳を求め、『WEB-Transer@ホームページ AI』を導入することになりました。

日本語サイトの情報をリアルタイムで9言語に翻訳できる「訳語修正機能」を活用し、翻訳精度の向上と運用負担の軽減を両立。さらに翻訳サービスの導入コスト削減にもつながっています。

浦安市公式サイトの多言語化サービスをWEB-Transer@ホームページに切替導入~多言語サイトでの課題発生から比較検証後のサービス切替を経て高品質な多言語化を実現

多言語サイトの運用効率化が、情報発信の質の向上に寄与

久慈市公式サイトの導入事例では、外国人向けに災害時や緊急時の情報発信が必要とされていましたが、費用と運用面が課題でした。また、無料翻訳サービスの誤訳リスクにも不安がありました。

そこで、自治体向けAI翻訳サービス『WEB-Transer@ホームページ AI』を導入し、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語への多言語化を実現。この導入により、重要な災害・緊急・コロナ対応ページを含む最新情報の多言語運用工数を大幅に削減しました。

また、日本語のサイトと同様のコンテンツをリアルタイムで多言語展開することが可能となり、自治体専用AI翻訳と修正機能で行政特有の表現にも高い翻訳精度を達成しました。

在留外国人への必要な情報発信をWEB-Transer@ホームページ AI翻訳 for LGで実現~緊急・災害情報の発信にも対応するための体制を整備

日本特有の文化も高精度に多言語化。インバウンドへの対応を可能に

株式会社船清の導入事例では、海外からの問い合わせが増える一方で、多言語での情報発信に問題を抱えていました。英語にはない日本語表現をどのように伝えるか、多言語サイトからの予約連携方法はどうするかが目下の課題でした。

この問題を解決するため、「WEB-Transer@ホームページ」を導入し、辞書登録機能を活用。また、予約については問い合わせ対応も含め、外部の旅行情報サイトと連携させました。

その結果、外国の方への情報発信がスムーズになり、予約数も増加しています。特に、「屋形船」など従来の自動翻訳では困難だった日本特有のキーワードも、辞書登録により高精度な翻訳を実現しました。

外国人観光客に日本特有の文化を伝えられる自動翻訳サービスを導入。~屋形船に興味を持っていただいている外国の方に利用情報と予約手段を発信~

まとめ

グローバル市場での競争が激化する中、多言語対応は単なる選択肢ではなく、事業成長の重要な要素となっています。特定の国や地域に向けた情報発信を強化することで、新たな市場を開拓し、海外のユーザーにも正確な情報を届けることができます。

多言語サイトの導入にあたっては、ターゲットに応じたコンテンツ設計、適切な翻訳手法の選択、そして運用のしやすさが重要なポイントとなります。コストやリソースを考慮しながら、自社にとって最適な方法を検討することが求められます。

戦略的な多言語対応を進めることで、国内外のユーザーとの接点を強化し、長期的なビジネスの成長につなげることができます。 多言語サイトの活用を通じて、より広い市場への展開を目指してみてはいかがでしょうか。

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