企業のグローバル展開が加速する現代において、Webサイトの多言語対応は避けては通れない課題です。しかし、専門の翻訳者に依頼するにはコストも時間もかかります。そこで注目されているのが「ホームページ自動翻訳」です。
この記事では、ホームページ自動翻訳の基本から、メリット、注意点、そして自社に最適なツールの選び方までを分かりやすく解説します。
ホームページ自動翻訳とは?
ホームページ自動翻訳とは、専用のツールやサービスを用いて、Webサイトのコンテンツを機械的に他の言語へ翻訳する仕組みのことです。
従来は、翻訳精度の低さからビジネス利用には不向きとされてきましたが、近年のAI技術の目覚ましい発展により、品質は飛躍的に向上しています。
自動翻訳の基本的な仕組み
ホームページの自動翻訳は、大きく分けて2つの仕組みがあります。1つは、Google Chromeなどのブラウザに搭載された機能で、ユーザーが閲覧する際に翻訳を行う「クライアントサイド翻訳」です。
もう1つは、Webサイト側にあらかじめ翻訳ツールを導入し、翻訳されたページをユーザーに表示する「サーバーサイド翻訳」です。ビジネスで活用する場合は、後者のサーバーサイド翻訳が一般的です。
| 翻訳の仕組み | メリット | デメリット |
| クライアントサイド翻訳 | ユーザーが手軽に利用できる | 翻訳精度はユーザーの環境に依存する SEO効果は期待できない |
| サーバーサイド翻訳 | 翻訳品質をコントロールしやすい SEO対策が可能 |
ツールの導入コストがかかる |
AI技術で翻訳精度は向上している
近年の自動翻訳は、ニューラル機械翻訳(NMT)というAI技術が主流です。文全体の文脈を理解して翻訳を行うため、従来の統計的機械翻訳(SMT)に比べて、より自然で人間が話すような滑らかな翻訳が可能になりました。この技術革新により、ビジネスシーンでも十分に活用できるレベルの翻訳品質が実現されています。
ホームページを自動翻訳する3つのメリット

ホームページを自動翻訳で多言語化することには、コスト削減以外にも多くのメリットがあります。ここでは、特に重要な3つのメリットについて解説します。
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メリット1:海外ユーザーへ迅速な情報提供が可能になる
自動翻訳ツールを導入すれば、日本語のサイトを更新すると同時にリアルタイムで多言語ページにも内容が反映されます。新製品のリリースやニュースなどを、世界中のユーザーへタイムラグなく届けることができます。
人力での翻訳作業で発生しがちな、言語ごとの公開タイミングのずれを防ぎ、全てのユーザーに公平な情報提供を実現します。
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メリット2:翻訳コストと手間を大幅に削減できる
専門の翻訳会社にWebサイト全体の翻訳を依頼した場合、多額の費用と時間がかかります。特に、頻繁に更新が発生するサイトでは、その都度翻訳を依頼する必要があり、運用コストは膨らんでしまいます。
自動翻訳であれば、初期費用と月額費用のみで済む場合が多く、長期的に見てコストと運用に関わる手間を大幅に削減することが可能です。
メリット3:ユーザー体験(UX)が向上する
海外のユーザーにとって、自身の母国語で情報が提供されているサイトは、信頼性が高く、安心して利用できます。サイトの内容をスムーズに理解できることで、製品やサービスへの関心が高まり、結果としてサイトの滞在時間や回遊率が向上します。
最終的に問い合わせや購入といったコンバージョン率の改善にもつながり、優れたユーザー体験(UX)を提供できます。
ホームページ自動翻訳の注意点とデメリット

多くのメリットがある一方で、自動翻訳を導入する際には知っておくべき注意点も存在します。ここでは、事前に把握しておくべきデメリットとその対策について解説します。
デメリット1:翻訳精度が100%ではない
AI技術によって翻訳精度は向上したものの、完璧ではありません。特に、業界特有の専門用語や固有名詞、微妙なニュアンスを含む表現などは、誤訳されたり不自然な表現になったりする可能性があります。
そのため、自動翻訳に頼りきるのではなく、必要に応じて人の目でチェックし、修正(ポストエディット)する体制を整えておくことが重要です。
デメリット2:ブランドイメージを損なう可能性がある
不自然な翻訳や明らかな誤訳がサイト上に掲載されていると、ユーザーに「品質管理ができていない企業」という印象を与えかねません。
製品やサービスへの信頼を損ない、企業のブランドイメージを大きく低下させるリスクにつながります。特に、企業の理念やビジョンといった重要なページでは、プロの翻訳者によるチェックを入れるなどの対策を検討しましょう。
デメリット3:SEOへの影響を考慮する必要がある
自動翻訳で生成されたページは、海外の検索エンジンにも認識されるため、グローバルなSEO対策として有効です。
設定を誤ると、元のページと翻訳ページが「重複コンテンツ」とみなされ、検索順位に悪影響を及ぼす可能性があります。これを避けるためには、「hreflang」タグを適切に設定し、各言語ページの対象地域を検索エンジンに正しく伝える必要があります。
失敗しない!ホームページ自動翻訳ツールの選び方

自社に最適な自動翻訳ツールを選ぶためには、いくつかのポイントを押さえて比較検討することが大切です。ここでは、ツール選定で失敗しないための5つの選び方を解説します。
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翻訳精度の高さで選ぶ
ツールの選定において、翻訳精度は最も重要な要素です。多くのツールでは無料トライアルが提供されているため、実際に自社のサイトコンテンツを翻訳してみて、その品質を確認しましょう。
また、専門用語や社内用語を登録できる「辞書登録機能」や、特定の業界に特化した翻訳エンジンを提供しているかどうかも、精度を判断する上で重要なチェックポイントです。
対応言語数と対象で選ぶ
自社がターゲットとする国や地域の言語に対応しているかを確認しましょう。対応言語数はツールによって様々です。将来的な事業展開も見据え、必要な言語をカバーできるツールを選びましょう。
マイナーな言語への対応が必要な場合は、対応言語数が多いツールを選ぶ必要があります。
機能の豊富さで選ぶ
翻訳機能以外にも、運用を効率化するための様々な機能があります。
例えば、翻訳後のレイアウト崩れを自動で調整する機能、海外の検索エンジンへのインデックスを促進するSEO対策機能、どの言語のページがどれくらい見られているかを分析する機能などです。自社の運用体制や目的に合わせて、必要な機能が備わっているかを確認しましょう。
コストと料金体系で選ぶ
料金体系は、主に初期費用と月額費用で構成される「月額固定型」と、翻訳した文字数に応じて費用が発生する「従量課金型」があります。サイトの規模や更新頻度によって、どちらの料金体系が適しているかは異なります。
複数のツールから見積もりを取り、費用対効果を慎重に比較検討することが大切です。
導入と運用の手軽さで選ぶ
Webサイトに数行のコードを埋め込むだけで導入できるツールや、WordPressなどのCMS(コンテンツ管理システム)にプラグインとして簡単に追加できるツールもあります。
社内に専門知識を持つ担当者がいない場合でも、スムーズに導入・運用できるかを確認しましょう。また、導入後のサポート体制が充実しているかも重要な選定ポイントです。
【比較表】おすすめホームページ自動翻訳ツール8選
ここでは、これまで解説した選び方を基に、おすすめのホームページ自動翻訳ツールを8つ厳選してご紹介します。各ツールの特徴を比較し、自社に最適なものを見つけてください。
| ツール名 | 料金 | 特徴 |
| WEB-Transer@ホームページAI | 要問い合わせ | AI翻訳エンジンによる高精度な翻訳。辞書登録や画像差し替えなど柔軟なカスタマイズが可能。 |
| Google翻訳 | 無料(APIは従量課金制) | 100以上の言語に対応。ウェブサイト全体を無料で翻訳可能。APIを利用すればより高度な連携ができる。 |
| DeepL | 無料(APIは無料枠あり) | 自然で高精度な翻訳が魅力。API連携でウェブサイトに組み込み可能。無料APIでは月50万文字まで。 |
| WOVN.io | 要問い合わせ | エンジニアでなくても直感的に操作可能。あらゆる種類のWebサイトに対応する豊富な運用支援機能が強み。 |
| shutto翻訳 | 月額6,600円〜 | 最短3分で導入可能。テキスト編集や画像置換がプレビュー画面を見ながら直感的に行える。 |
| Autolingual | 月額5,800円〜 | スクリプト1行を埋め込むだけで、独自AIによる自然な多言語化が可能。130以上の言語に対応。 |
| Myサイト翻訳 | 月額30,000円〜 | 翻訳ボタンを設置するだけで簡単に導入可能。全国の自治体や大手企業など豊富な導入実績。 |
| Microsoft Translator | 無料(APIは従量課金制) | クラウドベースの機械翻訳サービス。シンプルなREST API呼び出しで多言語サポートを実現できる。 |
WEB-Transer@ホームページAI
WEB-Transer@ホームページAIは、クロスランゲージ社が提供するホームページ自動翻訳サービスです。4つの翻訳方式から多言語サイトのURLを選択する事ができるため、多くのユーザーから指示されているサービスです。
高精度のAI翻訳エンジンにより、自然な翻訳を実現します。日本語で作成したホームページをリアルタイムに多言語へ展開でき、運用コストを大幅に削減できるのが魅力です。
また、特定の単語を登録できる辞書機能や、言語ごとに表示する画像を変更できる画像置換機能など、柔軟なカスタマイズが可能です。セキュリティ対策も万全で、WAFとCDNを併用しているため、サイバー攻撃を防ぎつつ、海外からのアクセスでも安定した表示速度を保ちます。
【関連記事】WEB-Transer@ホームページ AI – 【公式】株式会社クロスランゲージ
Google翻訳
世界で最も広く利用されている無料の翻訳サービスです。Webサイト翻訳機能を使えば、URLを入力するだけでページ全体を翻訳できます。手軽さが最大の魅力ですが、翻訳精度やカスタマイズ性、サポート面から、本格的なビジネスサイトでの利用には限界があります。まずは自動翻訳を試してみたいという場合に適しています。
参考:Google 翻訳
DeepL翻訳
ドイツ発のAI翻訳ツールで、ニューラルネットワークを活用した非常に高い翻訳精度で知られています。
特に、文脈を読み取った自然で流暢な翻訳に定評があります。APIを利用することで、自社のWebサイトにDeepLの翻訳機能を組み込むことが可能です。品質を重視するなら、候補となるツールです。
WOVN.io
「WOVN.io」は、Webサイト多言語化ソリューションです。特許取得済みの独自技術により、動的なサイトや複雑な構造のサイトでもレイアウトを崩さずに多言語化できます。
専任のカスタマーサクセス担当者による手厚いサポート体制も魅力で、初めて多言語化に取り組む企業でも安心して導入できます。
shutto翻訳
自動翻訳だけでなく、プロの翻訳者による人力翻訳も同じプラットフォーム上で依頼できるハイブリッド型のサービスです。
トップページや製品紹介ページなど、特に重要なページはプロに依頼し、ブログやお知らせなどの更新頻度が高いページは自動翻訳を利用するといった使い分けが可能です。品質とコストのバランスを取りたい企業におすすめです。
参考:ウェブサイト翻訳ツール『shutto翻訳』| 簡単に導入可能な多言語対応サービス|shutto翻訳|さぶみっと!
Autolingual
「Autolingual」は、最短3分で導入できる手軽さを実現したクラウド型の多言語化サービスです。独自のAIがDeepLやGoogle翻訳といった複数の翻訳エンジンを使い分け、常に最適な翻訳を提供します。
直感的に操作できる管理画面も特徴で、専門知識がない担当者でも簡単に翻訳の修正や辞書登録が可能です。
参考:Autolingual(オートリンガル) | Webサイト多言語化の公開&更新をAIで自動化
Myサイト翻訳
株式会社高電社が20年以上にわたって提供している信頼と実績のあるサービスです。
AI翻訳と、辞書機能を活用して固有名詞などを正確に翻訳する文法翻訳の2種類を提供しており、サイトのコンテンツに応じて最適な翻訳方法を選択できます。全国の自治体サイトで豊富な導入実績がある点も安心材料です。
参考:Myサイト翻訳|翻訳エンジン開発元が提供するWebサイト翻訳サービス |
Microsoft Translator
Microsoftが提供するクラウドベースの翻訳サービスです。同社のAzure上で提供されており、他のMicrosoft製品との親和性が高いのが特徴です。
長年のAI研究に裏付けされた安定した翻訳品質と、ビジネス利用に耐えうるセキュリティを備えており、企業システムの一部としてWebサイト翻訳を組み込みたい場合に適しています。
まとめ
ホームページ自動翻訳は、コストと手間を抑えながら、世界中のユーザーに情報を届けるための強力なツールです。AI技術の進化により、その翻訳精度は日々向上しており、多くの企業にとってWebサイトの多言語化がより身近なものになりました。
しかし、ツールによって機能や精度、コストは様々であり、100%完璧な翻訳を保証するものではありません。本記事で紹介した選び方や注意点を参考に、自社の目的や予算に最適なツールを選び、効果的なグローバル戦略の一歩を踏み出してください。
クロスランゲージの「WEB-Transer@ホームページAI」は、高精度AI翻訳エンジンでウェブサイトの多言語化を実現する自動翻訳サービスです。英語・中国語・韓国語などの基本言語を中心に最大23言語に対応し、貴社サイトに簡単に組み込めます。国内のAI翻訳エンジン開発メーカーがアプリケーションを作っているため、導入時だけでなく導入後も安心したサポートが受けられます。低価格で固定料金による導入が可能なため費用面でも安心です。30年以上の翻訳技術の実績を持つ企業が提供する信頼性の高いソリューションです。


