DeepL翻訳の情報漏洩リスクを徹底解説!無料版と有料版の違いとは?

DeepL翻訳の情報漏洩リスク

高精度な翻訳で注目を集めるDeepL翻訳は、ビジネスシーンでも広く活用されています。

しかし、その利便性の裏で「入力した情報が漏洩するのではないか」というセキュリティ上の懸念を持つ方も少なくありません。特に企業で利用する場合、情報漏洩は深刻な問題に発展する可能性があります。

この記事では、DeepL翻訳の情報漏洩リスクについて、無料版と有料版の違いを明確にしながら、企業が安全に利用するための対策を詳しく解説します。

DeepL翻訳とは?高精度な翻訳サービス

DeepL翻訳は、ドイツのDeepL社が開発した機械翻訳サービスです。従来の翻訳サービスと比較して、非常に自然で流暢な翻訳結果が得られると高く評価されており、世界中の多くのユーザーに利用されています。
ビジネス文書やメール、専門的な資料の翻訳など、多岐にわたるシーンで効果を発揮します。

AIを活用した自然で高精度な翻訳

DeepL翻訳の最大の特徴は、ニューラルネットワークを活用したAI技術にあります。

単語を一つひとつ置き換えるのではなく、文章全体の文脈やニュアンスを理解した上で、最も自然な訳文の生成が可能です。人間が翻訳したかのような、滑らかで違和感の少ない翻訳を実現しています。

参考:DeepLの仕組み

無料版と有料版(DeepL Pro)がある

DeepL翻訳には、誰でも手軽に利用できる「無料版」と、ビジネス利用を想定した高機能な「有料版(DeepL Pro)」の2種類が存在します。

無料版でも高い翻訳精度を体験できますが、有料版では文字数制限の緩和や、セキュリティ機能の強化、用語集機能の拡充など、より高度な機能が提供されています。特に、セキュリティ面において両者には大きな違いがあり、企業で利用する際にはこの点を正確に理解しておきましょう。

参考:DeepL Pro | テキスト、Wordその他の文書ファイルをセキュアに翻訳

 

DeepL翻訳で情報漏洩のリスクはあるのか?

結論から言うと、無料版のDeepL翻訳には情報漏洩のリスクが存在します。サービスの仕組みそのものに起因するものです。

一方で、有料版であるDeepL Proは、情報漏洩のリスクを最小限に抑えるためのセキュリティ対策が施されています。

参考:DeepL Pro | テキスト、Wordその他の文書ファイルをセキュアに翻訳

参考:DeepLの個人情報保護方針 | お客様の個人情報の保護は当社の優先事項です

無料版では入力データがAIの学習に利用される

DeepLの公式な個人情報保護方針によると、無料版のサービスで入力されたテキストやアップロードされた文書は、翻訳アルゴリズムの訓練および性能向上の目的で一定期間保存されると明記されています。

翻訳した内容がDeepL社のサーバーに送信され、AIの学習データとして二次利用される可能性があるのです。社外秘の情報や個人情報、未公開の製品情報などを無料版で翻訳することは、情報漏洩に直結する危険な行為と言えます。

有料版(DeepL Pro)では入力データは保存されない

一方、有料版のDeepL Proでは、セキュリティが大幅に強化されています。

DeepL Proで翻訳されたテキストや文書は、翻訳文を生成してユーザーに返すために必要な期間のみ一時的に保存され、処理完了後にはサーバーから完全に削除されます。AIの学習データとして利用されることもありません。機密性の高いビジネス文書でも安心して翻訳可能です。

プラン データ保持・利用 通信の暗号化 情報漏洩リスク
無料版 翻訳精度向上のため、入力データは保存・利用される 対応 高い
有料版 (DeepL Pro) 入力データは保存・利用されず、処理後すぐに削除される 対応(最高水準) 非常に低い

過去に起きた無料翻訳サイトでの情報漏洩事例

過去には、無料翻訳サイトが原因で大規模な情報漏洩事件が発生したことがあります。2015年2月、無料翻訳サイト「I Love Translation」において、ユーザーが翻訳のために入力した原文と訳文が、誰でも閲覧可能な状態でインターネット上に公開されていたという情報漏洩事例が明らかになりました。報道によると、企業や省庁などで業務に関わると見られる文章も含まれており、機密情報が検索サイトから検索可能な状態となっていたことが確認されています。

サイトに翻訳結果がサーバーに保存されることを承知する旨のチェックボックスが設置されていましたが、文章が公開状態になっていたことの意図の有無は不明でした。利用者がサービスの仕様やリスクを十分に理解せずに利用したことが、意図しない情報漏洩につながったケースです。

参考:翻訳サイトに入力した内容が公開状態に、IPAがクラウドサービス利用について注意喚起 -INTERNET Watch Watch

 

【比較】DeepL無料版と有料版(Pro)のセキュリティの違い

DeepL翻訳を安全に利用するために、無料版と有料版のセキュリティに関する違いを正確に理解しましょう。ここでは、公式情報を基に具体的な違いを比較します。

参考:DeepL Pro | テキスト、Wordその他の文書ファイルをセキュアに翻訳

参考:DeepLの個人情報保護方針 | お客様の個人情報の保護は当社の優先事項です

データ保持に関する規約の違い

最も大きな違いは、入力されたデータの取り扱いです。前述の通り、無料版では入力データがAIの学習のために保存・利用されますが、DeepL Proでは一切保存されません。

DeepLの利用規約では、無料版について「個人データの類が含まれるテキストはDeepL翻訳で使用してはいけない」と明確に記載されており、機密情報を扱う場合はDeepL Proの使用が必須であると示唆しています。

通信の暗号化とデータセンター

DeepLではユーザーとサーバー間のデータ通信は無料版・有料版を問わず、最先端のTLS暗号化技術によって保護され、第三者による通信の盗聴を防ぎます。

さらに、DeepL Proのデータ処理は、すべて欧州経済領域(EEA)内にあるデータセンターで行われており、世界最高水準のデータ保護規制であるEUの一般データ保護規則(GDPR)に準拠した厳格な管理体制が敷かれています。

セキュリティに関する機能比較

有料版(DeepL Pro)では、無料版にはないセキュリティ関連機能が提供されています。

機能 無料版 有料版(DeepL Pro) 説明
データ保存 AI学習のため保存 保存されない 最も重要なセキュリティ上の違い
シングルサインオン(SSO) なし あり(一部プラン) 企業の認証システムと連携し、不正アクセスを防止する
アクセス管理 なし あり(一部プラン) チームメンバーの利用状況を管理者が把握・制御できる
データ処理の場所 規定なし 欧州のデータセンター GDPRに準拠した厳格なデータ保護を受けられる

【関連記事】無料翻訳は危険!? セキュリティリスクを最小化する対策方法 | CROSS LANGUAGE コラム
 

企業がDeepL翻訳を安全に利用するための対策

DeepL翻訳の利便性を享受しつつ、情報漏洩のリスクを回避するためには、企業として適切な対策を講じることが求められます。

機密情報や個人情報の翻訳には有料版(DeepL Pro)を利用する

最も基本的かつ重要な対策は、企業の機密情報、顧客の個人情報、未公開の財務情報など、漏洩した場合に損害が発生する可能性のある情報を翻訳する際には、必ず有料版のDeepL Proを利用することです。

無料版は、公開されているウェブサイトの内容を翻訳するなど、機密性の低い情報にのみ利用を限定しましょう。

社内での利用ルールを明確に策定する

従業員が個人の判断で無料版と有料版を使い分けるのではなく、企業として明確なガイドラインを策定し、周知徹底しましょう。

どのような情報を翻訳する際に、どのツール(無料版、DeepL Pro、あるいは他の承認済みツール)を使用すべきかを具体的に定め、全従業員が遵守する体制を構築する必要があります。

API連携でセキュアな環境を構築する

DeepL Proは、API(Application Programming Interface)を提供しており、自社の業務システムやツールにDeepLの翻訳機能を組み込むことができます。

従業員がブラウザ上の無料翻訳サイトにアクセスすることなく、セキュリティが確保された社内環境で翻訳機能を利用可能です。シャドーIT(管理部門が把握していないITツールの利用)のリスクを低減できます。

参考:DeepL API について – DeepLヘルプセンター | どんなことでお困りですか?

定期的なセキュリティ教育を実施する

ツールの導入やルール策定と並行して、従業員に対する情報セキュリティ教育を定期的に実施することも不可欠です。

無料翻訳ツールに潜むリスクや、情報漏洩が企業に与える影響について理解を深めることで、従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高め、ルール遵守を促進できます。

 

DeepL Pro導入を検討する際のポイント

DeepL Proの導入を具体的に検討する際には、いくつかのポイントを押さえておきましょう。

ポイント1:料金プランと機能を比較する

DeepL Proには、個人向けの「Starter」、チーム向けの「Advanced」、大規模組織向けの「Ultimate」といった複数の料金プランがあります。
それぞれで翻訳できる文字数や文書ファイル数、利用できる機能(用語集の登録数、SSO対応の有無など)が異なります。自社の利用規模や必要な機能を洗い出し、最適なプランを選択しましょう。

ポイント2:チーム利用における管理機能を確認する

チームや組織でDeepL Proを導入する場合、管理機能の有無は重要な選定ポイントです。チーム向けのプランでは、管理者がメンバーの追加や削除、利用状況の確認などが行えます。
組織全体のコンプライアンスを維持し、適切なライセンス管理を行うために管理機能は非常に役立ちます。

ポイント3:費用対効果を考える

DeepL Proの導入にはコストがかかりますが、情報漏洩が発生した場合の損害(信用の失墜、賠償金の支払い、事業機会の損失など)と比較すれば、費用は決して高くないと言えるでしょう。

翻訳業務の効率化による生産性向上と、セキュリティリスクの低減という二つの側面から費用対効果を総合的に評価し、経営層や関連部署への説明材料とすることが導入の鍵となります。

 

まとめ

DeepL翻訳は非常に優れた翻訳ツールですが、無料版の利用には情報漏洩のリスクが伴います。特にビジネスで利用する際は、入力したテキストがAIの学習データとして利用される可能性を常に念頭に置く必要があります。

企業の機密情報や個人情報を扱う場合は、入力データが保存されない有料版(DeepL Pro)の利用が必須です。社内ルールを整備し、従業員への教育を徹底することで、DeepL翻訳の利便性を最大限に活かしながら、情報漏洩のリスクを効果的に管理することができます。

株式会社クロスランゲージのサービスでは、お客様のデータを収集しておりませんので安心してご利用いただけます。また、外部通信を必要としないオンプレミス環境で、更に堅牢なセキュリティを実現した翻訳サービスもご提供可能です。
ぜひ当社サービスも比較いただき、ご検討ください。
【関連記事】オンプレミス型AI翻訳システム WEB-Transer@Enterprise (AI)
【関連記事】翻訳APIサービス WEB-Transer@SDK (AI)
【関連記事】ホームページ自動翻訳サービス WEB-Transer@ホームページ AI

タイトルとURLをコピーしました